3年A組 ―今から皆さんは、人質です―

【3年A組】脚本家・武藤省吾による“特撮ヒーロー”へのオマージュ。菅田将暉はヒーローへ?



『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』は、現在6話まで放送されているミステリー学園ドラマです。

毎回意外性のある新しい展開があり、予想はどんどん覆されていくうえに、まったくのオリジナル作品なので、ネタバレが公式サイトの予告程度にしか流布されない状態なのです。

6話から第二部「怒涛のヒーロー編」が開幕、後半戦がスタートしました。

実は、この物語は3月1日から「卒業までの10日間」を一日一話として描いているのですが、最終日と予想される10話目がまさに3月10日㈰に放送となります。

物語には「え?」と思うような映像がサブリミナル的に差しはさまれたり、後に「ああ、あれはヒントだったんだ?」と思うような展開があったり。

その中でも冒頭から“ヒーロー”という存在が大きくフューチャーされています。

今回は、ドラマ「3年A組」を手がけた脚本家・武藤省吾さんの「仮面ライダー」ワールドとのリンクを考察します。



スポンサーリンク


脚本家・武藤省吾さん

今回、完全オリジナルの作品を作るとして奮闘されているのが脚本家の武藤省吾さんです。

”群像劇”の名手

彼は映画「クローズZERO」、「クローズZEROⅡ」などの群像劇を得意とし、それ以前はフジテレビ系列で「電車男」や「家族ゲーム」など、話題になった連続ドラマを手掛けていました。

いずれも多くのキャラクターがそれぞれの個性を発揮しながら交錯し、しかし主軸をブレさせることなく全体の物語を進めていくという難しいドラマばかり。

今回の、一クラス30人の生徒と謎めいた教師の運命が凝縮された10日を描くにおいて、こんなにピッタリの脚本家さんはいないだろう、というベストチョイスです。

仮面ライダービルド

そんな武藤さん、平成仮面ライダーのシリーズのファンだったことからシリーズ参加を熱望し、2017年放送の「仮面ライダービルド」を担当したという“ヒーロー”好きです。

ライダーシリーズのファンも、ビルドの次に武藤さんが執筆するドラマということで、多くが「3年A組」のスタートを心待ちにしてきました。

武藤さんは、ビルド製作時に見続けてきたその世界と多くの経験を通して、今回の「3年A組」を構築し、目を離せない展開のドラマのなかに“大切なこと”を沢山ちりばめて投げかけ、訴えかけているのです。



スポンサーリンク


「仮面ライダー」ワールドとのリンク

少年フィリップから柊へ

教師”柊一颯(ひいらぎいぶき)”としてこの難しい物語を引っ張るのが菅田将暉さんです。

若手の演技派として最も注目されている彼は、10年前に「仮面ライダーW」で最年少で仮面ライダーW(声)と変身前のフィリップを演じることでメジャーデビューしました。

その当時爆発的にヒットして人気を得たことから、朝ドラ「ごちそうさん」、現在放送中の「まんぷく」、大河ドラマ「おんな城主直虎」でのメインキャスト、さまざまな映画の主演を経て今回プライム枠の連ドラ初主演を務めることになりました。

どこかに少年っぽさを残す風情と、アクションからピュアな恋物語、社会の底辺からヒエラルキーのトップまでを演じ分ける幅の広さはこの世代でも随一といわれています。

その彼が演じる、陰キャから狂気をはらんだ瞳、酷薄そうな微笑みでまさに何を考えているのかわからない柊一颯。

その彼が「ゾクゾクさせてやるよ」と言った瞬間に、ネットが湧きました。

仮面ライダーWでフィリップの口癖が「ゾクゾクするねぇ」だったからです!

そして「アクション俳優を目指していたんだ」と生徒相手に大暴れした彼。

オープニングに差しはさまれるスーツアクターの動画に、IVKI(イブキ)のテロップ。

ほとんどヒントがないままに物語が進み、6話にしてやっと、布石となっていた情報が結び付き、実像がおぼろげに見えてきたのです。

その過去を語ってくれたのがスーツアクター“ファイター田中”として出演した前川泰之さんです。

“エボルト”登場!

前川泰之さんは、仮面ライダービルドで主人公らと敵対するエボルト(石動惣一)として、全編通して存在感のある狂言回し的な役どころを演じていました。

彼が今回画面上にふっと現れた時、これもまたネットが大きく盛り上がりました。

ライダーの伝統として登場する“おやっさん”と呼ばれたキャラ、そしてまだその記憶も生々しく残るエボルト=ファイター田中が柊の過去を語るというのは、ファンにはたまらない高揚感をもたらすシーンでした。

そしてまた、中盤で登場した半グレ集団“ベルムズ”のリーダー貴志正臣を演じていたのが栄信さん。

正体不明な雰囲気を醸していた彼もまた、ビルドの世界では北都のライダーの一人キャッスルハードスマッシュ(赤羽)を演じていたのです。

地味ながら、コアなビルドのファンにはたまらないキャスティング。

さらに平成ライダーシリーズではおなじみの神尾佑さん。

「仮面ライダーオーズ/ooo」、「仮面ライダーアマゾンズ」など、善悪取り混ぜた役で特撮の世界に確固たるポジションを得ている彼が教師役を演じてきました。

有象無象の教師らの群像の中でつかみどころがなかった水泳部顧問の坪井でしたが、胸の内に秘めていたものを吐露する演技は素晴らしいものでした。



スポンサーリンク


彼はヒーローなのか?

生徒たちに手をかけておらず、SNSに景山澪奈の事件の真相を投げかけている柊への評価は、6話で大きく変わりました。

犯罪者から、“ヒーロー”へ。

世界のその掌返しの速さは恐ろしいほどでしたが。

掴みどころがなかった柊の行いは、実は余命を宣告されたからこその、まさに命がけの行いだったことが判明したのです。

彼が生徒たちに残したい本当に大切なものとは一体何なのか。

それを投げかける時に彼が言った言葉___”Let’s think”が、これまでにもオープニングなどで断片的に差しはさまれてきた劇中劇である「ガルムフェニックス」のキメ台詞だったことなど。

まだまだ、ちりばめられた謎は解明されないままに残されています。

物語の終盤に向かって

柊がかつて目指していたというヒーロー___スーツアクターの世界。

実は柊の志に賛同していた協力者の相楽孝彦は、撮影所の経営者でもあり、今回の事件には準備段階から大きくかかわっていたような描写がありました。

劇中劇としての特撮ヒーロー番組の映像、そしてその制作にかかわる人々が、澪奈の死から始まったこの事件にどれほどのかかわりを持っていたのか、何層にも作り込まれたこの世界を、あと4話でどういう風に解明していくのか。

絶望から始まったこの群像劇の結末には、子供たちが見て育つ特撮ヒーロー番組のように、何某かの希望を見出したい、と願っているのです。



スポンサーリンク