グッドワイフ

【グッドワイフ】杏子(常盤貴子)にエールを!演出・塚原あゆ子のメイクドラマに期待



ドラマを見るとき、スタッフロールの“演出”にこだわったことはありますか?

今回「グッドワイフ」には素敵な演出家さんが三名参加していらっしゃいます。

塚原あゆ子さん、山本剛義さん、松木彩さん。

この中でもメインの演出を手掛けていらっしゃる塚原あゆ子さんに注目してみましょう。



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TBS系列、数々の秀作に参加

塚原さんの所属はTBSスパークル(旧・ドリマックステレビジョン)という制作会社です。

この数年で

夜行観覧車(2013年)
アリスの棘(2014年)
Nのために(2014年)
重版出来!(2016年)
リバース(2017年)
アンナチュラル(2018年)
中学生日記(2018年)

等々、記憶に残る多くの作品に参加されています。

彼女が手掛ける物語は“家族”をテーマに掘り下げたドラマ、切ない恋愛ものが多く、その描写、構成力に定評があります。



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濃厚な演出、その密度を味わう

ドラマを観るとき、当たり前ですが画面を見ていますよね。

しかし、さらっと描かれ、流れていくそのシーンは、コンマ何秒という単位でシーンをつなぎ合わせ、重ね合わせ、放送枠にぴったり合うように作り込まれています。

脚本も何度もすり合わせを重ね、割本と言う撮影用の脚本やコンテが作成され、撮影されたシーンも取捨選択され、ベストカットを切り出すようにして生み出されたのです。

グッドワイフを見ていて「凄いなぁ…」と感じるのは、畳みかけるようにシーンが展開するのに、その流れがとてもナチュラルだということ。

ことに、「グッドワイフ」は初回の冒頭の展開は秀逸でした。

数十秒で、杏子のおかれた現状が全て詳らかにされ、過去と現在が交錯して“今”につながる、という密度の濃い流れで見ている側の心をぐっとつかみ、そのまま16年ぶりに復帰した杏子の弁護士としての戸惑いと事件に対する諸々の感情を一緒に体験しているかのような心境に引きずり込まれる、そんな見事な演出でした。

しかし、むやみに詰め込むばかりではなく、時にモノクロームのスローモーションを織り込み、そこにサウンドトラックを重ね、静かに、またアクティブに緩急をつけて作られた物語は、ずーんと心に響く何かを確実に残してくれて、見終わってから「あー…面白かった!」と言える作品になっていくのです。

塚原さんの演出回に光るのは、そうしたテンポの良さです。



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キャラクターとの“整合性”

杏子と常盤貴子さん。
円香と水原希子さん。
多田と小泉孝太郎さん。
そして壮一郎と唐沢寿明さん。

いずれもとても“らしい”といえば“らしく”、しかしどこかに意外性を含めて描かれています。

それぞれアメリカ版のオリジナルキャラクターから着想を得てキャスティングされているのですが、それをそのまま日本版にしたとしても、今の“グッドワイフ”にはなりえません。

完ぺきに再現したとしても、それはとても滑稽なものとなってしまうはずです。

しかし、日本版はそのオリジナルに引けを取らないレベルの“ドラマ”となっています。

それぞれの演者さんたちの持ち味が加味されて、主軸となる塚原さんたち演出家さんのフィルタを通して画面の中の杏子となり、円香となる、大枠のとらえ方から、微細な表情の作り込み、セリフの一言ひとことにも見事なシンクロがあり、日本版というよりも、すでに独立した素晴らしい物語となっている、ともいえるのではないでしょうか。

ことに、杏子を演じる常盤貴子さんは、オリジナルのアリシアに比べると「可愛らしすぎ?」とも思えるチャーミングさが持ち味ですが。

彼女が時折見せる凄み、喜怒哀楽の表現の巧みさは流石の貫禄です。

杏子は、常盤さん以外にはありえない。

常盤さんが、杏子というキャラクターに歩み寄り、そして“演出”という作業があって、少しずつ擦り合わせて構築したその“人格”が素晴らしいのです。

同様に、円香や多田、そして壮一郎も画面の中でこれ以上はないほど彼らとして生きています。

いずれも、塚原さんをはじめとする演出家チームの「こんな“グッドワイフ”が観てみたい!!」という想いが詰まったキャラばかり。

演者さんたちが魂を込めて作り上げたキャラクターたちは、物語の中で完ぺきにその役割を果たし、一人の無駄もなく、画面を構成しているのです。

女性を描くこと、男性を描くこと

塚原さんの作品では、女性がとても繊細に描かれています。

ことに昨年公開になった初監督作品の映画「コーヒーがさめないうちに」や、ドラマ「アンナチュラル」ではヒロインだけでなく、彼女らを取り巻く周囲の描き方もモザイクのようであり、多層構造のようであり、思うようにいかないそれぞれの人生を丹念に描いていました。

そんな彼女らを描くとき、周囲の男たちに着目させることで、より一層女性のキャラクターを外側から際立たせていくような印象を持ちました。

「コーヒーが冷めないうちに」では、有村架純さん演じる時田数に寄り添う伊藤健太郎さんの新谷亮介。

「アンナチュラル」では石原さとみさん演じる三澄ミコトと、先輩法医学者の中堂系(井浦新)やバイト学生・九部六郎ら。

それぞれの対比からヒロインの姿がリアルに浮かび上がってくる、そんな演出が塚原作品の妙なのです。

「グッドワイフ」では、まさに壮一郎と多田の二人を並べることによって、その間にいた杏子が目まぐるしく変化、そして成長を遂げてきました。

最後に彼女が選ぶのはどちらか。

また、どちらを選ぶこともなく、一人で立ち、前を見据えて歩き出すのか。

恋愛だけでは語れない杏子の人生、そして“これから”。

揺れるだろう彼女の想いがどこに着地するのか、それもこの作品の最大の見どころではないでしょうか。

まとめ

先日A-Studioに出演した朝飛弁護士役の北村匠海さんが「良いシーンでカットがかかると、塚原さんが“素敵でーす!”って声かけてくれるのが嬉しくて、頑張ってる」と言うお話をされていました。

演出の手腕で現場のモチベーションを上げている、と言うよりも“素敵な監督さん”として愛されているという感じがじわっと伝わってくるエピソードでした。

塚原さんが手がけてきた今までの作品の多くは、心に灯がともるような余韻を残してくれるドラマでした。

杏子の置かれている現状は公私ともに厳しいことばかりですが。

そんな彼女にエールを…そして皆がそれぞれに顔を上げて歩いていけるような、そんな未来を見せて欲しいなと思うのです。



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